はじめに
日産自動車の今後の株価の見通しを分析します。ここ数年、日産自動車の株価は、以下の懸念材料により大きくその値を下げてきました。
- カルロスゴーン氏の問題
- 無資格の従業員による完成車検査
- 2021年3月期の最終損益が6700億円の赤字となる見通し
しかし、ここ最近、日経平均の上昇や自動車業界の復活の兆しが垣間見えれたことから、ふたたび大きく株価をあげてきました。
そんな日産指導者の日産自動車の今後の株価の見通しについて「上昇は見込めるのか?」という観点で分析を進めたいと思います。
日産自動車とは?
日産自動車は、国内販売シェアは、第5位の企業です。
日産自動車の近年の特徴としては、以下です。
2019年5月、世界初のシステム「プロパイロット2.0」を発表
プロパイロット2.0
「プロパイロット 2.0」では、ナビゲーションシステムで目的地を設定し、高速道路の本線に合流するとナビ連動ルート走行を開始できます。ルート走行を開始すると追い越しや分岐なども含めてシステムがルート上にある高速道路の出口までの走行を支援し、ドライバーが常に前方に注意して道路・交通・自車両の状況に応じ直ちにハンドルを確実に操作できる状態にある限りにおいて同一車線内でハンズオフが可能となり、ドライバーの運転操作を幅広く支援します。また、ナビゲーションと周囲360度のセンシング情報に基づいて、ルート走行中の分岐や追い越しのための車線変更の適切な開始タイミングをシステムが判断し、ドライバーに提案します。そして、ドライバーがハンドルに手を添え、スイッチ操作で承認することで、車線変更支援を開始します。
https://www.nissan-global.com/JP/TECHNOLOGY/OVERVIEW/ad2.html
この開発速度は国内自動車メーカーの中で、もっとも進捗していると言えるでしょう。
自動運転楽でいいですよね。渋滞とか運転するの大変・・・と感じる私には、とてもありがたい技術です。しかも、「プロパイロット 2.0」では、同一車線内でハンズオフが可能というのがすごいですよね。運転好きの方には、不要なのかもですが、私のような運転が面倒という方には、ありがたい技術ですよね。
業界構造
日本の自動車業界は、トヨタ自動車と本田技研と日産自動車の三つ巴状態なっております。その中で、トヨタ自動車には、SUZUKI、マツダ、スバルで団結しております。
近年、自動車業界では、「MaaS」という分野への投資に注目が集まっています。このMaasとは「Mobility as a Service」の略で、移動”すること自体をサービスとしてとらえるという考えです。
このMaaSを牽引するMONET Technologiesという企業があります。この企業の出資比率は、以下のようになっております。
この日本の自動車業界の大方が出資する中、投資をしてないのが、日産自動車となります。
日産自動車はルノーと三菱自動車は、アライアンス関係にあります。
日産自動車の株は、ルノーが43%保有しています。また、日産自動車は、ルノー株を15%、三菱自動車の株を34%を保有しています。
この三社の関係性は、悪化傾向にあります。というのもの、日産自動車の売り上げが右肩下がりであるため、ルノーとしても日産自動車とのアライアンス関係のメリットに懐疑的であると言えます。
この日産とルノー社間の確執の原因となっていた経営統合構想です。
今後、この三者のアライアンス関係を生かした経営戦略構想が重要と言えるでしょう。
日産自動車の2020年度第3四半期決算
2020年度第3四半期3か月は、以下の通りです。
- 連結売上高2兆2,248億円
- 連結営業利益271億円
- 売上高営業利益率1.2%
1Q,2Qと赤字続きだった日産自動車の利益は、3Qでようやく黒転いたしました。
対前年比では、売り上げが、-2794億円であるものの利益が、+44億円となっています。
ただし、累計の当期純利益が-3677億円と本年度は、厳しいであると言えます。対前年比でも-4070億円となっています。
それに伴い、本年度の見通しは、-6150億円から-5300億円へと上方修正されております。
1Qが特に厳しかった日産自動車の決算ですが、3Qにきてようやく回復の兆しが見えてきました。
日産自動車のファンダメンタル分析
一番の懸念点は、売上高が減少傾向であるということです。
「日産自動車の車が売れること」そのための経営戦略を描くということが、長期投資のポイントとなると思います。しかし、この点、日産自動車の見通しを立てるのは、非常に難易度が高いです。現状ですときびしいのではないか。。。と筆者の目には映ります。
よって、個人的には、もう少し難易度の低い銘柄への投資が良いのではないかと考えます。
概要
- 良い点
- PBR:0.6倍
- 懸念点
- 自己資本比率:22.9%
売上・利益
- 懸念点
- 売上5y CAGR・予想:-10.0 %
- 直近2年赤字決算
EPS/BPS・配当・健全性
- 懸念点
- EPSマイナス転落
- 配当:0円
- 自己資本比率の急激な低下
日産自動車のテクニカル分析
日足チャート
日産自動車の株価は、コロナショック前の水準まで戻してきていることがわかります。
- 移動平均線
- 青線:5日移動平均線
- オレンジ線:25日移動平均線
- 緑線:75日移動平均線
- 赤線:200日移動平均線
ダブルボトムを形成し、上昇トレンドに転じた形となります。
直近60日の日足チャート
直近60日もダブルボトムを形成して大きく上昇していきました。
MACD
MACDが買いシグナルとなった2月上旬から大きな上昇トレンドです。MACDも綺麗な形となっていることから、MACDベースの売りも出てくると推定されます。
RSI
RSIは75タッチ後徐々に下降しています。
ボリンジャーバンド
直近の上昇で、大きく上に抜け、エクスパンションしました。+3σタッチ後、+1σまで下げてきました。
一目均衡表
一目均衡表もMACDとほぼ同じタイミングで三役好転し、雲上限に支えられる形で大きな上昇トレンドなりました。
フィボナッチ・リトレースメント
以下二つのラインがサポートラインとして機能する可能性があります。また、直近の下値を結んだ二点のトレンドライン(青線)が機能する可能性があります。その場合584円をサポートラインに上昇トレンドが継続する可能性が高いと見てよいでしょう。
- 584円
- 541円
価格帯別出来高
540〜550円に大きなサポートラインがあることが確認できます。現在は、非常に薄いサポートラインなので、急激な下落に注意が必要ですね。
週足チャート
長期足では、13週移動平均線がサポートラインとして機能しています。
- 移動平均線
- 青線:13週移動平均線
- オレンジ線:26週移動平均線
- 緑線:52週移動平均線
月足チャート
12ヶ月移動平均線がレジスタンスラインとなっていましたが、2020年10月に上に抜けました。
- 移動平均線
- 青線:12ヶ月移動平均線
- オレンジ線:24ヶ月移動平均線
競合他社との比較
車業界で投資するなら、トヨタ自動車です。なぜなら、リターンが高くリスクがもっとも低いためです。シャープレシオが一番よいと言えるでしょう。
スズキは、リターンは高いのですが、ボラティリティも高くリスキーです。
- 7201:日産自動車
- 7203:トヨタ自動車
- 7261:マツダ
- 7267:本田技研
- 7269:スズキ
- 7270:SUBARU
直近5年の年間利益率
- 日産自動車:-8.0%
- トヨタ自動車:8.8%
- マツダ:-10.8%
- 本田技研:3.1%
- スズキ:12.1%
- SUBARU:-7.6%
直近5年の年間利益率のリスク
- 日産自動車:0.31
- トヨタ自動車:0.23
- マツダ:0.37
- 本田技研:0.29
- スズキ:0.35
- SUBARU:0.31
日産自動車のトレンド分析
トレンド分析結果
Trend(黒先)からも下落トレンドから抜けそうと見えます。
seasonal(緑)は短期的には、下落の見通しです。
コレログラム
600日付近に負の相関がありそうです。250日でおよそ一年ですので、2.4年周期で株価が逆の変動をしています。
トレンド分析による今後の株価推移予想
トレンド分析から予想される日産自動車の株価の推移は、以下です。現在の水準は過熱感ありで、短期的には、調整の可能性が高いです。そこから、今年一年は横ばいの予想となっています。中期的には、今は、買いを入れる時ではなさそうです。
日産自動車のモンテカルロ・シミュレーション
直近5年分の株価の推移
- 横軸:日付
- 縦軸:株価
直近5年分の対数利益率の推移
近年日産自動車の株価のボラティリティが高くなっていることがわかります。振れ幅としては、マイナスの方向の方が、急激におちます。(一般的に株価は、落ちるスピードの方が早いため、1日あたりの利益率の振幅は、マイナスの方が高くなる傾向があります。)
- 横軸:日付
- 縦軸:対数利益率
モンテカルロ・シミュレーション
- 横軸:日数
- 縦軸:株価
モンテカルロ・シミュレーションからレンジは、207〜1378円で、平均値583円で推移することが予想されます。
1年後の株価のヒストグラム
- 横軸:株価
- 縦軸:度数
- ave : 572.0 円
- min : 207.0 円
- max : 1345.0 円
まとめ
短期投資
押し目を狙いたいです。以下二水準でのエントリーがよいと判断します。
- 584円:試し買い
- 541円:本エントリー
理由は強い上昇トレンドのため。
584円の理由は、フィボナッチリトレースメントとトレンドラインの接点となる可能性が高いため。
541円の理由は、フィボナッチリトレースメントのため。
ただし、540円を下に抜けると速度が早く下落する可能性があるので、注意しましょう。理由は、価格帯別出来高のためです。
長期投資
なしと判断します。
理由は、売り上げが徐々に減少傾向であるためです。正直車業界の先行きを見通すのは難易度が高いと思います。そんな中でも、売上が減少傾向であるという事実は、長期投資を検討する上では、厳しめの判断にならざるをえないと言えるでしょう。
モンテカルロシミュレーションからは、1年後の株価は、572円が平均値となっていることから、あまりリターンは見込めないと判断します。
投資に関してもっと知りたい、投資を始めてみたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。口座開設の方法やおすすめの証券会社について解説しています。
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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