はじめに
資本資産評価モデル(CAPM)について解説します。現在、実務資産家がもっとも使うモデルの一つだと言えるでしょう。資本資産評価モデル(CAPM)は、資産の期待リターンを算出するのに用います。
分散投資のリスク低減効果を反映した資産のリスクと期待リターンについては、過去の講義で扱ってきました。ぜひ参考にしてみてください。
資本資産評価モデル(CAPM)とは?
資本資産評価モデル(CAPM)は以下の式で算出することができます。
左辺は、期待リターンを表します。
- rf:リスクフリーアセットの期待リターンです。
- βpg:市場ポートフォリオのリスクに対する資産mのリターンの感度
- rm:マーケットポートフォリオの期待リターン

まず、リスクフリーアセットのリターンですが、一般的には米国債10年利回りが使用されます。
また、日本の場合は、日本の国債の10年利回りが使用されます。
また2項目の(rm-rf)はマーケット・リスクプレミアムと呼ばれ、以下の間で値を使用することが一般的です。ここら辺はどの期間のデータを使用するかによって変動しますので、注意が必要です。
- 米国の証券市場では歴史的に6%~8%
- 日本の証券市場では4%~6%程度
pythonによる資本資産評価モデル(CAPM)の実装
それでは、Pythonで実装していきます。
コード
ライブラリのインポート
pandas_datareaderだけは、Anacondaには含まれていないので、こちらは、別途インストールしてください。
インストール方法は、以下のコマンドを入力することで可能です。
- Mac:ターミナル
- Windows:コマンドプロンプト
pip install pandas_datareader
以下のライブラリをインポートします。
- numpy
- pandas
- pandas_datareader
- matplotlib
import numpy as np
import pandas as pd
from pandas_datareader import data as wb
import matplotlib.pyplot as plt
%matplotlib inline
株価の読み込み
今回は、以下2つの2015年から2020年までの株価を取得します。
- KDDI
- トピックス
import numpy as np
import pandas as pd
from pandas_datareader import data as wb
tickers = ['9433.jp', '^TPX']
data = pd.DataFrame()
for t in tickers:
data[t] = wb.DataReader(t, data_source='stooq', start='2015-1-1', end='2020-12-31')['Close']
二つの株価の可視化
data = data.iloc[::-1]
(data / data.iloc[0] * 100).plot(figsize=(10, 5))

今回は、stooqからスクレイピングしているんですが、データが逆転するんですよね・・・なので、data = data.iloc[::-1]でデータを反転しています。
実行結果は以下です。
KDDIの方がトピックスに比べて、リターンが大きいことがわかります。一方で、ベータはどうなのでしょうか?確認してみましょう。

対数利益率の計算
対数利益率が不明な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
sec_returns = np.log( data / data.shift(1) )
共分散の計算
共分散が不明な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
cov_with_market = cov.iloc[0,1]
cov_with_market
実行結果は以下です。

そして、^TPXと^TPXのセル0.36788はトピックスの分散を表します。
ベータの算出
よってベータは以下となります。
KDDI_beta = cov.iloc[0,1] / cov.iloc[1,1]
KDDI_beta
実行結果は、以下です。
- 0.7608743056436845
期待リターンの計算
期待リターンを計算していきます。
リスクフリーアセットの期待収益は、0.6%とマーケットポートフォリオの期待リターンを5%と仮定し、計算しました。
KDDI_er = 0.06 + KDDI_beta * 0.05
実行結果は、以下です。
- 0.09804371528218436
おおよそ9.8%です。つまり、KDDIに投資するには、9.8%の年利を期待して投資すると判断するわけです。
まとめ
資本資産評価モデル(CAPM)について解説しました。資本資産評価モデル(CAPM)とは、資産の期待リターンを算出するのに用います。
資本資産評価モデル(CAPM)は以下の式で表します。
左辺は、期待リターンを表します。
- rf:リスクフリーアセットの期待リターンです。
- βpg:市場ポートフォリオのリスクに対する資産mのリターンの感度
- rm:マーケットポートフォリオの期待リターン

Pythonをもっと勉強したいという方は、以下を参考にしてみてください。私が、勉強に使っている本や勉強方法などを解説しています。
ファイナンス理論に関しては、以下の記事を参照ください。
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。









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