はじめに
資本資産評価モデル(CAPM)とは、リスクフリーアセット(リスクがゼロ)の存在を想定したモデルを指します。その資本資産評価モデル(CAPM)における主な評価指標の一つである、ベータ(β)について解説します。

βと聞くと・・・難しそうと感じる方もいるかと思いますが、実はそんなに難しくないですよ。
なるべくわかりやすく解説したいと思いますので、ぜひ参考にしてみてください。
ベータ(β)とは?
ベータ(β)とは、個別銘柄と市場ポートフォリオの関係を定量化するために用います。
特に、ポートフォリオに組む銘柄によって得られる分散によって、防ぐことができないリスクを定量化することが可能なのです。
市場ポートフォリオとは、株式や債券など世界中のあらゆる市場にあるリスク資産を、それぞれの時価総額の比率に応じて、投資したと仮定したポートフォリオのことを指します。例えば、株式だけに絞った場合は、全ての株式を時価総額に応じて保有するということです。
市場ポートフォリオには安全資産とリスク資産があります。この安全資産かリスク資産を分ける指標が、ベータとなります。
- β<1:安全資産(ディフェンシブ)
- 1<β:リスク資産(アグレッシブ)
ベータは以下の式で算出可能です。
- σpg,m:市場ポートフォリオと求めたい銘柄との共分散
- σm:市場ポートフォリオの標準偏差

安全資産
- 市場ポートフォリオ(マーケット)が伸びる時は、市場ポートフォリオより低い利益率になる。
- ただし、下落時のリスクも少ない。
リスク資産
- 市場ポートフォリオ(マーケット)が伸びる時は、市場ポートフォリオより高い利益率になる。
- ただし、下落時のリスクが大きい。
では、個別銘柄のβの値をPythonを使って、算出していきましょう。
pythonによるベータの計算の実装
それでは、Pythonで実装していきます。
コード
ライブラリのインポート
pandas_datareaderだけは、Anacondaには含まれていないので、こちらは、別途インストールしてください。
インストール方法は、以下のコマンドを入力することで可能です。
- Mac:ターミナル
- Windows:コマンドプロンプト
pip install pandas_datareader
以下のライブラリをインポートします。
- numpy
- pandas
- pandas_datareader
- matplotlib
import numpy as np
import pandas as pd
from pandas_datareader import data as wb
import matplotlib.pyplot as plt
%matplotlib inline
株価の読み込み
今回は、以下2つの2015年から2020年までの株価を取得します。
- KDDI
- トピックス
import numpy as np
import pandas as pd
from pandas_datareader import data as wb
tickers = ['9433.jp', '^TPX']
data = pd.DataFrame()
for t in tickers:
data[t] = wb.DataReader(t, data_source='stooq', start='2015-1-1', end='2020-12-31')['Close']
二つの株価の可視化
data = data.iloc[::-1]
(data / data.iloc[0] * 100).plot(figsize=(10, 5))

今回は、stooqからスクレイピングしているんですが、データが逆転するんですよね・・・なので、data = data.iloc[::-1]でデータを反転しています。
実行結果は以下です。
KDDIの方がトピックスに比べて、リターンが大きいことがわかります。一方で、ベータはどうなのでしょうか?確認してみましょう。

対数利益率の計算
対数利益率が不明な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
sec_returns = np.log( data / data.shift(1) )
共分散の計算
共分散が不明な方は、以下の記事を参考にしてみてください。
cov_with_market = cov.iloc[0,1]
cov_with_market
実行結果は以下です。

そして、^TPXと^TPXのセル0.36788はトピックスの分散を表します。
ベータの算出
よってベータは以下となります。
KDDI_beta = cov.iloc[0,1] / cov.iloc[1,1]
KDDI_beta
実行結果は、以下です。
- 0.7608743056436845
つまり、KDDIはディフェンシブな銘柄と言えます。
まとめ
その資本資産評価モデル(CAPM)における主な評価指標の一つである、ベータ(β)について解説しました。
市場ポートフォリオには安全資産とリスク資産があります。この安全資産かリスク資産を分ける指標が、ベータとなります。
ベータは以下の式で算出可能です。
- σpg,m:市場ポートフォリオと求めたい銘柄との共分散
- σm:市場ポートフォリオの標準偏差

Pythonをもっと勉強したいという方は、以下を参考にしてみてください。私が、勉強に使っている本や勉強方法などを解説しています。
ファイナンス理論に関しては、以下の記事を参照ください。
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
コメント
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