ルネサスエレクトロの今後の株価の見通しを分析します。
この記事は、こんな方におすすめの記事です。
- ルネサスエレクトロの株の購入を検討しているのですが・・・
- 長期投資の銘柄としてはどうなのか?
結論
ルネサスエレクトロの株の購入を検討しているのですが
A.短期でリバウンド上昇を狙える可能性はあると判断します。(2021年3月23日時点)
ただし、上値は、1230円付近になる可能性があるので、注意が必要と判断します。
長期投資の銘柄としてはどうなのか?
A.なしと判断します。
理由は、リスクが高いためです。
ルネサスエレクトロとは?
- 日本を代表する大手半導体メーカー
- NECから分社化していたNECエレクトロニクスの経営統合によって、2010年4月に設立
大手半導体メーカー
ルネサスエレクトロは、世界トップクラスのシェアを誇るマイコンが有名です。
特に、自動車向けのマイコンが有名です。
現在、自動車業界は、EVシフトや自動運転技術など、市況が活況であり、それに伴いルネサスエレクトロの株価も非常に強い上昇トレンドを形成してきました。
なぜなら近年、半導体需要が上昇しているためです。
その他にも、小惑星探索機「はやぶさ2」に耐放射線ICが搭載されるなど、注目を浴びています。
買収
ルネサスエレクトロは近年、大型の会社の買収の動きを見せています。
- 2017年:インターシル
- 2019年:IDT
- 2021年:英国Dialog Semiconductor Plc(買収手続き開始)
インターシル
インターシルは以下の事業領域を手がける企業です。
- 産業
- インフラ
- モバイル
- 車載
- 航空宇宙機器向け
特徴は、電力効率の向上、バッテリ駆動時間の延長、小型化を実現するソリューションです。
これにより、補完的な製品ポートフォリオを実現したことが大きいと言えます。
インターシル買収に関する記事は、こちらです。
IDT
IDTが手がける事業は以下があります。
- RF
- 高性能タイミング
- メモリインターフェイス/パワーマネジメント
- オプティカル・インターコネクト
- ワイヤレスパワー
- スマートセンサー
インターシルの買収と同様、補完的な製品ポートフォリオを構築できたと言えます。
またルネサスエレクトロは、事業領域としては、
- データセンター
- データエコノミー関連分野
へ事業領域を拡大するとともに、産業・自動車分野でのポジション強化できると言えるでしょう。
トヨタやグーグルが自動運転技術の先にある人中心の社会デザイン。
これを達成する上でもデータエコノミー関連の分野を強化することは、個人的には、非常に強いと思います。
というのも、日本は少子高齢化でデータエコノミーという観点がとても重要。
一方でビジネス的にスケールするのか?という懸念事項があるのも事実です。
英国Dialog Semiconductor Plc
ルネサスエレクトロの決算短信
- 粗利益率、営業利益、営業利益率は発足以来最高
- 在庫逼迫
なぜ、粗利率が高くなっているのか?
これは、半導体業界全般に言えることですが、需要が高まっている一方で、供給量が一定のためです。
そのため、売上高は変わらないものの、販売価格が上がっており、利益率が向上しているということだと推定されます。
売上収益に関しては、ここ2年ほどは横ばいで推移していることがわかります。
一方で、注目すべきは、在庫状況です。
右肩下がりです。
つまり、需要と供給のバランスでいうと、需要の方が大きいと言えるでしょう。
強い需要のため、供給が追いついていない状況というのが現状です。
自動車業界の生産ラインが半導体不足のために、生産ラインが止まるほどでした。
その供給のボトルネックになっているのが、外部委託先とのこと。
このボトルネック解消に向けた対策として、自社工場の増産にも着手しています。
また、そのような状況であることから設備投資額の増額を予定しているとのこと。
今後この需要は、しばらく続く見込みであると筆者も推察しています。
一つでも多くの製品を供給する術を確立すること、この実現可否が今後の株価に大きく影響与える点となりそうだと筆者は睨んでいます。
今後の見通し
半導体業界は、現在好況サイクルにあります。
そういった状況のときは、利益率が高い市場へ半導体を多く流通させることになります。
そのため、高い信頼性を求められる車業界への半導体流通量は、減る、よって自動車の生産ラインがとまるというのが現状です。
今後、このまま半導体の好況サイクルが、常習化するとなると車業界は、新たに半導体の安定供給ということが課題になる可能性があります。
こうなってくると、半導体業界は長期的に好況サイクル継続し長期化する可能性があると思っています。
ルネサスエレクトロのファンダメンタル分析
ファンダメンタルズは、可もなく不可もなくといったところでしょうか。
半導体業界ということで、比較的振れ幅が大きい業界だと思います。
このコロナかでも需要が高まっていることは、非常に良いですね。
あとは、この通期での売上高を右肩あがりにしていくことができれば、投資としては、かなり魅力的な銘柄になると思います。
概要
- 良い点
- 自己資本比率:38.3 %
売上・利益
- 良い点
- 売上5y CAGR・実績:11.0 %
- 営利5y CAGR・実績:4.5 %
EPS/BPS・配当・健全性
- 良い点
- 自己資本比率が増加傾向
- 懸念点
- EPS減少傾向
ルネサスエレクトロの最新ニュース一覧
- イノベーション – Renesas Electronics Corporation
- ホンダ、ルネサスと協業 次世代EV向け高性能半導体開発 – 日本経済新聞
- 新代表取締役社長兼CEO就任のお知らせ – Renesas Electronics Corporation
- ミネベアミツミとルネサス、ロボットやOA機器、医療・介護機器に最適なステッピングモーターのソリューション開発で協業 – Renesas Electronics Corporation
- ホンダ、ルネサス株を471億円分取得 半導体で連携視野 – 日本経済新聞
ルネサスエレクトロのテクニカル分析
スイングトレード程度での現在の水準(2021/03/23)からのエントリーはありだと判断します。
ただし、中長期目線でのエントリは、微妙です。
直近13週移動平均線を割り込んでいること。
また、月足チャートで前回高値付近で天井を形成する動きを見せているためです。
日足チャート
- 移動平均線
- 青線:5日移動平均線
- オレンジ線:25日移動平均線
- 緑線:75日移動平均線
- 赤線:200日移動平均線
直近5年分
2017年の11月に1500円のピークをつけてから、2020年までは、下落トレンドでした。
そこから、コロナショック後は、上昇トレンドを迎えています。
直近60日分
直近60日は、1000〜1360円のレンジで推移しています。
75日移動平均線が、サポートラインとして機能しています。
現在は、75日移動平均線にぶつかっているタイミングです。
短期的にリバウンド上昇することが予想されます。
MACD
MACDはあまり機能していない状況です。
3月中旬に買いシグナルが出たところで、大きく上昇しましたが、現在は大きく下落。
おそらく火災の報道のため。
しかし、MACDは依然として買いシグナル継続です。
RSI
RSIは40付近です。
何度か40にタッチした後反発している傾向があります。
40を割り込んだタイミングでの逆張りのエントリーはありかと思います。
ボリンジャーバンド
おおよそ±2σで推移しています。
しかし、±3σまで、変動するときもありますね。
-3σタッチを基準に逆張りでエントリーするのは良さそうと判断します。
一目均衡表
直近は、雲下限がサポートラインとして機能しています。
この雲を抜けると下落する可能性があるので、注意が必要です。
雲下限でエントリーして、雲抜けたところで、利益確定のリバウンド上昇狙いが短期だと良さそうですね。
価格帯別取引量
1200円がかなり大きい取引量となっています。
そのため、このラインがレジスランスラインになる可能性があります。
週足チャート
直近13週移動平均線を割れ込んでおり、注意が必要な状況ですね。
- 移動平均線
- 青線:13週移動平均線
- オレンジ線:26週移動平均線
- 緑線:52週移動平均線
月足チャート
12、24ヶ月移動平均線のゴールデンクロスを皮切りに上昇トレンドを形成してきました。
いかし、現在は、天井を示唆しています。
12ヶ月移動平均線との乖離も大きいので一旦下落して押し目を形成する動きも予想されそうです。
- 移動平均線
- 青線:12ヶ月移動平均線
- オレンジ線:24ヶ月移動平均線
競合他社との比較
- 6723:ルネサスエレクトロ
- 6981:村田製作所
- 6963:ローム
- 6707:サンケン電気
この業界全体的に2017年末に株価のピークを迎えていることがわかります。
そのピークをルネサスエレクトロ以外は更新している状況です。
この中で一番成長していない株が、ルネサスエレクトロです。
直近5年の年間利益率
ルネサスエレクトロの利益率は、最も低いです。
- ルネサスエレクトロ:9.2%
- 村田製作所:15.6%
- ローム:18.1%
- サンケン電気:23.6%
直近5年の年間利益率のリスク
ルネサスエレクトロのリスクは、最も高いです。
- ルネサスエレクトロ:0.50
- 村田製作所:0.33
- ローム:0.37
- サンケン電気:0.48
ルネサスエレクトロのトレンド分析
トレンド分析結果
現状は、上昇トレンドとなっています。
シーズナブルパターン(緑)としては、年度末に株価を下げる可能性があります。
コレログラム
250日でおおよそ一年です。
よって、400日付近に負の相関のピークがあります。
これは、年数にするとおおよそ1.6年です。
つまり3.2年周期で変動している可能性があります。
これは、半導体サイクルの影響かもしれません。
- Autocorrelation
- 縦軸:相関係数
- 横軸:日数
- Partial Autocorrelation
- 縦軸:偏相関係数
- 横軸:日数
確認すると確かに3.2年周期で株価が変動していることがわかります。
この周期を継続するとなると、ここからは下落トレンドに入る可能性があります
トレンド分析による今後の株価推移予想
トレンド分析によると、今後は上昇トレンド継続の可能性を示唆しています。
ルネサスエレクトロのモンテカルロ・シミュレーション
直近5年分の株価の推移
- 横軸:日付
- 縦軸:株価
直近5年分の対数利益率の推移
2019年と2020年に大き利益率が変動しています。
2019年は、ルネサスエレクトロは厳しい年でした。
- 継続的な市況の軟化
- 産業向け分野を中心に市況が軟化傾向
2020年は、コロナショックが原因です。
- 横軸:日付
- 縦軸:対数利益率
モンテカルロ・シミュレーション
モンテカルロ・シミュレーションからレンジは、179〜10170円で、平均値1275円で推移することが予想されます。
- 横軸:日数
- 縦軸:株価
1年後の株価のヒストグラム
- 横軸:株価
- 縦軸:度数(正規化)
- ave : 1357.0 円
- mid : 1069.0 円
- min : 192.0 円
- max : 9154.0 円
まとめ
短期投資
スイングトレードでエントリーするのは、ありと判断します。
ただし、利益確定が1230円くらいです。
理由は、価格帯別出来高量を確認すると1230円付近の取引量が多いためです。
理由は、以下です。
- 75日移動平均線が、サポートラインとして機能のため可能性があるため
- 一目均衡表、雲下限がサポートラインとして機能する可能性があるため
- RSIが何度か40にタッチした後反発している傾向があるため
長期投資
なしと判断します。
理由は、以下です。
- 直近5年の年間利益率のリスクが高いため
- 半導体サイクルが続く場合は、この先は、下落する可能性があるため
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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