はじめに
国内最大手、高配当株として有名な武田薬品工業の今後の株価の見通しを分析します。武田薬品工業は30年間減配を行っていないことが、インカムゲイン狙いの個人投資家からも、検討される銘柄の一つと言えるでしょう。
近年、買収・売却で注目を集める世界でも有数の医薬品メーカとして成長した企業です。
- 2019年1月:アイルランド製薬大手シャイアーの買収
- 2020年8月:子会社の武田コンシューマーヘルスケアを米投資ファンド・ブラックストーンに売却
今回は、そんな武田薬品工業の今後の株価の見通しについて解説いたします。
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武田薬品工業とは?
武田薬品工業はこのような買収・売却の背景から、大衆薬(OTC医薬品)から、研究開発型のバイオ医薬品のグローバルカンパニー化の流れが強まっている企業と言えるでしょう。
現在、日本で初めて売上が世界TOP10入りした企業でもあります。
よって、今後は買収した会社とのシナジーから、フリーキャッシュフローを如何に生み出すかが大切な投資ポイントとなります。というのも、このシャイヤーの買収には、6.2兆円もの金額がかかっており、この投資を回収するための施策が、重要と言えます。
研究開発領域
具体的現在、武田製薬工業では、6つの研究開発に注力しています。
- オンコロジー(がん)
- 希少疾患
- ニューロサイエンス(神経精神疾患)
- 消化器系疾患
- 血漿分画製剤
- ワクチンへの投資
対売上収益比率は、消化器系疾患(21%)と希少疾患(20%)で約41%となっております。この二つが主要な産業と言えます。
消化器疾患系のポートフォリオ
消化器疾患系のポートフォリオの成長は、ENTYVIOが牽引しています。このENTYVIOとは、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤です。詳細は、こちらを参照ください。
ENTYVIO投与を受ける患者の割合は、年々増加傾向にあります。
特に米国では高い割合となっており、Mar-20には、30.6%ととなっています。今後も成長が見込まれることから、武田薬品のさらなる成長が期待できるでしょう。
希少疾患
希少疾患分野では、TAKHZYROのグローバル売上収益が成長しています。
TAKHZYROは、遺伝性血管浮腫の予防治療薬です。
2019年第四半期には、194億円の売上収益を達成しております。こちらの売上収益も増加傾向にあり、今後もさらなる成長が見込めます。
この事業領域のおいては、武田薬品がKALBITORやFIRAZYR、CINRYZEをのシェアを抑えていることがわかります。
武田薬品工業の決算短信(2021年3月期第三四半期)
まず、売上収益ですが、前年同期比で-3.6%のマイナス成長となっております。一方で注目すべきは営業利益で、120.7%の成長となっています。これは、しかし一時的な要因となる可能性もあります。その詳細についてみていきましょう。
この営業利益の成長について詳細にみていきます。
売上原価
まず、もっともインパクトが大きかった売上原価の圧縮です。対前年同期で-12.0%となっております。これは、シャイアー社買収に伴う棚卸し資産の非資金性の公正価値調整によるものです。
棚卸資産とは、企業が販売する目的で一時的に保有している商品・製品・原材料・仕掛品の総称です。
また、公正価値とは、市場取引にて資産を売却で受け取れる金額または、負債の移転で支払う価値を言います。非資金性とは、正確には、非現金支出費用で、減価償却費、特別償却費、廃棄損、除却損、売却損、評価損等が当てられます。不要な不要な在庫の廃棄で、税制上のメリットがあったりします。
販売費及び一般管理費
次に、インパクトが大きかった販売費及び一般管理費の圧縮です。対前年同期で-9.9%となっております。
これは、Shire社統合に伴う経費の削減やCOVID-19に伴なる出張経費の削減によるものです。
その他営業収益
また影響が大きいのが、その他営業収益の増加です。これは、SHP647関連の権利売却によるものです。
武田薬品工業のファンダメンタル分析
概要
- 良い点
- 配当利回り:5%
- 自己資本比率:37.7%
- 懸念点
- ROE:1.0%
- 配当性向:633.8%
売上・利益
売上高が20.3から大幅な成長をしています。これは、Shire社の買収によるものです。この買収に6.2兆円近い資金を要しています。つまり、それまでの武田薬品の売上を2兆円とするとおよそ3年分の売上高を支払ったことになります。
かなり大きな投資であることが頷けるでしょう。
- 良い点
- 売上5y CAGR・予想:16.6 %
- 営利5y CAGR・予想:29.2 %
- 純利5y CAGR・予想:11.9 %
EPS/BPS・配当・健全性
- 良い点
- 配当維持で高配当
- 懸念点
- EPSのばらつきが大きいこと
- ネットD純利益倍率の悪化
- 自己資本比率の悪化
武田薬品工業の最新ニュース
- サイエンスにかける一人ひとりのストーリー | 武田薬品 – Takeda
- 武田、アステラスなど合弁設立 創薬シーズの事業化支援で – 日刊薬業
- 武田・アステラス・三井住友銀の合弁が設立、創薬シーズの事業化支援/武田、eConsentで治験参加者をプレスクリーニング など|製薬業界きょうのニュースまとめ読み(2024年10月9日) – Answers(アンサーズ)
- 武田など3社出資の新会社「シコニア」始動 創薬を支援 – 日本経済新聞
- 武田薬品、東北大学病院、愛知県がんセンター、MICIN、治験におけるeConsentを用いたプレスクリーニングの開始について – PR TIMES
武田薬品工業のテクニカル分析
日足チャート
直近の日足チャートはばらばらとした動きとなっています。3600〜3900円のレンジで推移しています。
- 移動平均線
- 青線:5日移動平均線
- オレンジ線:25日移動平均線
- 緑線:75日移動平均線
- 赤線:200日移動平均線
価格別出来高
3700円と3600円が意識されています。3700円はかなり強いサポートラインとして機能することが予想されます。
MACD
買いシグナルが発生しそうな状況です。ただし、直近60日では、あまり機能していない状況です。
RSI
RSIは、50を突破したところです。ここから上昇になるかどうかというところです。80くらいまでは上昇の可能性があると言えるでしょう。
ボリンジャーバンド
現在は、徐々にボラティリティが下がってきています。現在は、ミッドバンドを介しての動きとなっています。
一目均衡表
一目均衡表では、雲下限にアタックして、3/3に三役好転となっております。ここから強い買いが発生する可能性があります。
週足チャート
- 移動平均線
- 青線:13週移動平均線
- オレンジ線:26週移動平均線
- 緑線:52週移動平均線
月足チャート
- 移動平均線
- 青線:12ヶ月移動平均線
- オレンジ線:24ヶ月移動平均線
直近で意識されている大きなレジスタンスラインがブルーのラインと言えるでしょう。
武田薬品工業の株価が上昇トレンドに転じるには、まずこのラインをブレイクすることが重要です。
また強いサポートラインとして3300円付近が意識されいています。この右肩下がりの三角保ち合いをブレイクすると大きく株価が動くことが予想されます。
競合他社との比較
第一三共と中外製薬が大きく成長していることがわかります。一方で武田薬品は業界最下位の成長率となっており、-4.2%の年間成長率です。
リスクを考慮すると、中外製薬がもっともよい投資先と言えるでしょう。
中外の絶好調業績の背景にあるのは、血友病治療薬「ヘムライブラ」の拡大です。2018年5月に発売開始し、2019年の1年間で1500億円超を売り上げています。
- 4502:武田薬品
- 4568:第一三共
- 4503:アステラス製薬
- 4578:大塚HD
- 4519:中外製薬
直近5年の年間利益率
- 武田薬品:-4.2%
- 第一三共:29.2%
- アステラス製薬:4.0%
- 大塚HD:3.1%
- 中外製薬:29.6%
直近5年の年間利益率のリスク
- 武田薬品:0.26
- 第一三共:0.32
- アステラス製薬:0.26
- 大塚HD:0.28
- 中外製薬:0.28
武田薬品工業のトレンド分析
トレンド分析結果
直近5年の株価の推移から2018年にピークをつけ2019年までは下落トレンドです。2019年から現在に至るまではレンジ相場となっております。
seasonal(緑線)から、年度明けに最安値をつけて秋に高値をとる傾向があります。
コレログラム
特に周期性は確認できません。
トレンド分析による今後の株価推移予想
緩やかなに下げていく予想となっています。3500円付近での推移が続くとの見通しです。
武田薬品工業のモンテカルロ・シミュレーション
直近5年分の株価の推移
- 横軸:日付
- 縦軸:株価
直近5年分の対数利益率の推移
2016年に非常に大きいスパイクが確認できます。
2016年4月28日の下落が大きく、その日の報道は以下です。
- 監査等委員会設置会社への移行及び定款一部変更に関するお知らせ
- 横軸:日付
- 縦軸:対数利益率
モンテカルロ・シミュレーション
モンテカルロ・シミュレーションからレンジは、1015〜6349円で、平均値3500円で推移することが予想されます。
- 横軸:日数
- 縦軸:株価
1年後の株価のヒストグラム
- 横軸:株価
- 縦軸:度数
- ave : 3450.0 円
- min : 1154.0 円
- max : 6349.0 円
まとめ
短期投資
ありと判断します。
戦略としては、逆張りと順張りとで二つあります。
逆張りの場合は、3600円付近の底堅い推移が確認できるため、3600円にタッチしたら逆張りのエントリーが良いと判断します。
順張りの場合は、以下のレジスタンスラインをブレイクして上昇に転じたタイミングです。
長期投資
ありと判断します。
なぜなら、Shireの買収の効果が徐々に見られており、ファンダメンタル的にも良いと思います。また、中外製薬との成長率の差を見ても、ここまでの差がつくほどではなく、今後がある程度収束する見込みを立てています。
また、直近の営業利益の成長は、注目に値すると思います。この注目により株価は上昇が意識されると思います。そのような思惑から買いが入る可能性が高いと見ています。
テクニカル的にも今は買い場です。ここ数年レンジで推移しており、底硬い展開となっております。
投資に関してもっと知りたい、投資を始めてみたいという方は、こちらの記事も参考にしてみてください。口座開設の方法やおすすめの証券会社について解説しています。
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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