はじめに
東京電力の今後の株価の見通しを分析したいと思います。東京電力は、10-12月期決算は想定比下振れtとの報道が2021年2月に発表されました。

- 累計経常利益は2356億円で前年同期比24.0%減益
- 市場予想を350億円程度下回る
- 電力スポット市場の高騰や柏崎原発稼働期待などで、年初から株価は大きく上昇している状況
これまで、年始からこれまで上昇してきた東京電力の株価もここにきて、ブレーキが踏まれる形となりました。
そこで、このまま再下落トレンドに入るのか?という観点で今後の見通しに分析したいと思います。
東京電力とは?
概要
東京電力とは、以下の事業を子会社として擁する会社です。
- 燃料・火力発電事業
- 一般送配電事業会社
- 小売電気事業会社
- 再エネ発電事業会社

- 東京電力ホールディングスは、世界第5位のエネルギー消費大国である日本の電力供給を支える会社
2019年度のセグメント別の経常損益
セグメント別の売り上げを見ても、卸電力の販売減少や競争激化などで減収・減益傾向であることがわかります。
- 経常損益
- 東京電力ホールディングス:一番目の経常損益高
- 東京電力カフュエル&パワー:一番の成長率
- 東京電飾パワーグリッド:二番目の経常損益高
- 東京エナジーパワー:特になし
- 要因は以下です。
- 東京電力ホールディングス株式会社の経常損益は、東京電力エナジーパートナーへの卸電力販売の減少が要因
- 東京電力フュエル&パワー株式会社の経常損益は、火力発電事業等を承継したJERAにおいて、燃料費調整制度の期ずれ影響が好転したことなどが要因
- 東京電力パワーグリッド株式会社の経常損益は、修繕費・減価償却費などの減少が要因
- 東京電力エナジーパートナー株式会社の経常損益は、競争激化や気温影響などが要因

東京電力の2020年度第3四半期決算
概要
YoYで減収・減益傾向となっています。売上高は、88.5%です。営業損益は61.8%とかなり厳しい状況であることが頷けます。

東京電力のファンダメンタル分析
概要
- 良い点
- PBR:0.2倍
- 懸念点
- ROE:1.7%

ROEに関しては、競合他社と比較し、かなり低い水準であることがわかります。

売上・利益
利益が減少傾向であることが、懸念点です。
- 懸念点
- 営利5y CAGR・実績:-13.1 %
- 純利5y CAGR・実績:-22.5 %

EPS/BPS・配当・健全性
無配というのは財務状況としては、妥当だが、投資家目線の観点からいうと、投資対象としては、かなり厳しいでしょう。
- 良い点
- 自己資本比率の改善
- 懸念点
- EPSの減少
- ネットD純利益倍率の増加傾向

東京電力のテクニカル分析
日足チャート
- 移動平均線
- 青線:5日移動平均線
- オレンジ線:25日移動平均線
- 緑線:75日移動平均線
- 赤線:200日移動平均線
直近5年分の日足チャート
2021年に入りかなり大きいボリュームで取引されており、長く続いた下落トレンドを抜ける可能性が出てきている。

直近3ヶ月の日足チャート
75日移動平均線が右肩上がりになってきました。200日移動平均線も右肩上がりになりそうです。
2020年12月200日移動平均線がサポートラインとして機能し、その後5日移動平均線とのゴールデンクロスを皮切りに一気に価格が上昇していることがわかります。
引き続き200日移動平均線をサポートラインとしたトレードが予想されます。

ボリンジャーバンド
+2σに沿ってバンドウォーク後ミッドバンドにぶつかりそうな局面です。
前回は、3σタッチの翌日は、利益確定が確認されていることがわかります。

フィボナッチ・リトレースメント
フィボナッチ・リトレースメントから、直近は、374円がサポートラインになる可能性があると判断でできます。

RSIストキャスティック
RSIストキャスティックは、3にタッチして、反発するケースが多いです。

モメンタム
現在モメンタムが-49です。この水準から過去は、反発するケースが何回か続いています。今回もここから短期的には、反発する可能性がありそうです。

週足チャート
長らく26週移動平均線がレジスタンスラインとして機能していましたが、2021年1月にブレイクし、その後は、上昇トレンドに転じています。この上昇トレンドが長期トレンドとなるかが確認のポイントです。
- 移動平均線
- 青線:13週移動平均線
- オレンジ線:26週移動平均線
- 緑線:52週移動平均線

月足チャート
現在24ヶ月移動平均線がレジスタンスラインとして機能しています。
長期トレンドで上昇トレンドを確認するには、この24ヶ月移動平均線がレジスタンスラインの突破が必要条件となるでしょう。
- 移動平均線
- 青線:12ヶ月移動平均線
- オレンジ線:24ヶ月移動平均線

競合他社との比較
競合他社との比較においては、9502中部電力のパフォーマンスがまだましな方です。東京電力は圧倒的に悪いパフォーマンスとなっています。
私が、電力関連の会社に投資するのであれば、中部電力です。
なぜなら、一番パフォーマンスがましで、かつボラティリティ(リスク)も低いためです。
ただし、配当は最低6%ほどはないと投資対象としては厳しいですね。ちなみに、中部電力の配当は、現状3.7%です。
- 9501:東京電力
- 9502:中部電力
- 9503:関西電力
- 9504:中国電力
- 9506:東北電力

直近5年の年間利益率
- 東京電力:-7.0%
- 中部電力:0.5%
- 関西電力:-1.6%
- 中国電力:-2.2%
- 東北電力:-7.2%
計算方法は以下の記事を参考にしてみてください。
直近5年の年間利益率のリスク
- 東京電力:0.33
- 中部電力:0.24
- 関西電力:0.29
- 中国電力:0.19
- 東北電力:0.22
中国電力がもっともリスクが低いと算出されます。
計算方法は以下の記事を参考にしてみてください。
東京電力のトレンド分析
またトレンドパターンは、2019年1月を境に下落トレンドに入っています。
過去のパターン(シーズナブルパターン(緑線))をみると年末に価格を上昇させる傾向があるようです。
トレンド分析結果
- 横軸:日付
- 縦軸:株価

コレログラム
400日付近に負の相関(-0.5)が確認されます。
1年おおよそ250日換算なので、400は1.6年周期です。
シーズナブルパターンが強いかと思いましたが、正直なんの周期なのかわからずです。

トレンド分析による今後の株価推移予想
長期トレンドが下落のため、ここから先も下落が濃厚との見込みです。
直近の高騰は、トレンド観点からは予想外の動きとなっており、完全に外れ値です。ここからスピード調整の可能性もありますので注意しましょう。過去の傾向からは、このような高騰のあとは一旦下落する確率が高いと算出されています。
- 横軸:日付
- 縦軸:株価

東京電力のモンテカルロ・シミュレーション
直近5年分の株価の推移
- 横軸:日付
- 縦軸:株価

直近5年分の対数利益率の推移
2017年の株価増加率は過去最高となっています。2020年から、最近まではボラティリティが高く推移していることがわかります。
- 横軸:日付
- 縦軸:対数利益率

モンテカルロ・シミュレーション
モンテカルロ・シミュレーションからレンジは、145〜945円で、平均値376円で推移することが予想されます。
2021年2月13日現在の株価である390円は少し高めの水準との分析結果です。
- 横軸:日数
- 縦軸:株価

1年後の株価のヒストグラム
1年後は、平均値で453円との予想です。しかし、最頻値は、290円前後であることに注意しましょう。
- 横軸:株価
- 縦軸:度数

- ave : 453.0 円
- min : 221.0 円
- max : 888.0 円
まとめ
東京電力の今後の株価の見通しを分析しました。
- 累計経常利益は2356億円で前年同期比24.0%減益
- 市場予想を350億円程度下回る
- 電力スポット市場の高騰や柏崎原発稼働期待などで、年初から株価は大きく上昇している状況
短期投資
保有している分は、一旦は利益確定が良いと判断します。
短期的には、374まで下げてから、そこから反発する可能性があります。
現在は、ボラティリティが高くあまりエントリーする時期とは言えないですが、仮にエントリーするのであれば、逆張りです。374タッチでの逆張りで短期での利益確定がよいかと思います。
理由は、以下です。
- フィボナッチ・リトレースメント
長期投資
東京電力にあえて投資をする必要性は低いと思います。もし、電力関連の事業で投資するのであれば、中部電力が良いでしょう。
今回の記事は、以上です。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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